琉球音楽全友會

関東支部

第二回温習会

2023年12月2日 於)浅草公会堂 第二集会室

 

※お陰様で無事終演いたしました

ご挨拶

琉球音楽全友會 主宰 與那覇徹
琉球音楽全友會 主宰 與那覇徹

はいさい、ぐすーよー、今日拝なびら。

師走の寒い節にもかかわらず、本日は琉球音楽全友會関東支部第二回温習会にお越しいただき、誠にありがとうございます。

2010年6月に全友會関東支部を設立し13年が経ち、現在、師範3名、教師8名、コンクール受賞者も最高賞5名、優秀賞12名、新人賞8名と年を重ねるにつれて増えてまいりました。

しかしながら私の拠点が沖縄という事もあり、関東の門下生の発表の場が殆どありませんでした。そのような中で門下生の希望もあり、2022年より温習会の取り組みを始めております。お陰様でここに第二回温習会を催す運びとなりました。

8月に演目を決め、本日までの約4ヶ月間、門下生が主体的に稽古を重ねてまいりました。どんな舞台になるのか、ちゃんと稽古をしたのか不安もありますが、いずれにせよ、門下生が楽しく演奏・表現が出来ればと思えば不安というよりも楽しみになるのではと思っております。

 

結びに、本温習会をご覧いただき、お気付きの点などございましたらご指導、ご鞭撻の程を賜りたく勝手ながら私の挨拶とさせていただきます。本日は誠ににふぇーでーびる。

 

琉球音楽全友會 主宰 與那覇徹

琉球音楽全友會 会長 岡村祐介
琉球音楽全友會 会長 岡村祐介

本日は師走のご多忙の折、全友會の温習会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。また、平素より全友會の活動にご理解ご支援をいただき、重ねて御礼申し上げます。

琉球音楽全友會関東支部は2010年に発足、2018年には初めての発表会『覧古考新~萌芽~』を開催することができました。

日々稽古を重ねておりますが、発表の場がほとんどないことが関東支部の課題だと感じます。衣装を来て人様の前で演奏する経験をどのメンバーにも積んでほしいと考え、年に一度のおさらい会『温習会』の企画を昨年より立ち上げました。

 

前回の温習会ではそれぞれがやりたい演目を設定し挑戦しましたが、今回は少しハードルを上げて、師匠與那覇先生が組んだ演目に取り組みます。難易度の高い演目や今回始めて取り組んだ演目もありますが、すべて師匠の愛と期待と捉え、稽古に励んでまいりました。

 

未熟な芸ではありますが、本日時点での到達として皆様にお披露目させていただきたいと思います。ご指導ご鞭撻いただけますと幸いです。

 

琉球音楽全友會 会長 岡村祐介

実行委員長 近江恵美
実行委員長 近江恵美

本日は第二回温習会にお越しいただき誠にありがとうございます。第二回温習会を開かせていただく運びとなりましたことを、心より感謝申し上げます。

この舞台に向けて、門下生一同一生懸命練習を重ねてまいりました。未熟な点もあるかと思いますが、新たな挑戦と一年の節目の時の意気込みをお汲みとりいただければ幸いです。どうぞ最後までごゆっくりご高覧ください。

終わりに、いつも厳しく温かく見守ってくださる與那覇徹先生、活動にご理解・ご協力をいただきましたご家族のみなさまに、深く御礼申し上げます。 

 

第二回温習会 実行委員長 近江恵美


【ご見学時のお願い】

・スマートフォン等音が鳴る機器をお持ちの場合は音が鳴らない設定にしていただきますようお願いいたします。

・演奏中の写真、動画の撮影はお控えいただきます様よろしくお願いいたします。

・その他お尋ねの点がございましたら遠慮なく運営スタッフにお声がけください。


演 目

開場14:30 開演15:00

 

幕開け斉唱

二揚独唱

上り口説

二揚独唱

 

‐休憩‐

 

中幕斉唱

浜千鳥

本調子独唱

師匠独唱

年忘れの歌


 解説

1,幕開け斉唱(御前風三節/かぎやで風節・恩納節・辺野喜節)

御前風節
祝賀の座で演奏される5節の総称(かぎやで風節,恩納節,辺野喜節※,中城はんた前節,こてい節)。王府時代は国王の御前で演奏される楽曲であったことに由来します。

※元は長伊平屋節が歌われていましたが,曲想や演奏時間による組み合わせがよいこともあり,今日では代わりに辺野喜節が歌われるようになりました。


かぎやで風節

今日の誇らしやや 何にぎやな譬てる 蕾で居る花の 露行逢た如

≪歌意≫

今日の誇らしい歓びを何にたとえようか。花の蕾が朝露に出逢って,いましも満開するような心地。

≪解説≫
祝宴の座開きに演奏される。長寿を寿ぎ子孫繁栄,五穀豊穣の願いが込められています。


恩納節

恩納松下に 禁止の碑の立ちゆす 恋忍ぶ迄の 禁止やないさめ

≪歌意≫

若者たちの寄り処・並松の下に毛遊び禁止の立て札が立った。いかに御上の命令が絶対といえども,若者の恋心を抑圧することはできまい。禁止の碑文,なにするものぞ。無視して大いに語ろう。

≪解説≫
琉歌24首で構成され,沖縄本島恩納村の自然や情景,恋歌も歌われています。今回は,王府役人によりさまざまな禁止の立て札が立てられたことに対して“まさか恋までも禁止しないでしょう”と役人への皮肉を歌った恩納ナベによる琉歌を歌います。

 

辺野喜節

伊集の木の花や あん清らさ咲きより 我身も伊集やとて 真白咲かな

≪歌意≫

伊集の木の花は,あんなにきれいに咲いて,とても見事である。私もあの伊集の花のように真白に咲きたい。

≪解説≫

国頭郡国頭村辺野喜が発祥の地であり,伊集の木の花を讃えてよまれた曲です。伊集の木は成長すると10メートル以上にもなり,木の枝一面に白い花が咲きます。

 

2,二揚独唱

干瀬節

里とめばのよで いやで云ふめお宿 冬の夜のよすが 互に語やべら

≪歌意≫

貴方と思えばどうして一夜の宿をお断りしましょうか。冬の夜を一晩中,語り明かしましょう。

≪解説≫

組踊の創始者である玉城朝薫が,自身の作品である「執心鐘入」の演奏曲とした歌曲です。「執心鐘入」の劇中では3回歌われますが,今回は,一人留守をしている女のもとに訪ねてきた,かねてより思いを寄せていた若松という若者を招き入れる場面の歌詞を演奏します。

 

子持節

誰ようらみとて 泣きゆが浜千鳥 逢はぬつれなさや わ身もともに

≪歌意≫

誰を恨めしく思って鳴いているのか浜千鳥よ。逢えぬつれなさは私も同じだよ。

≪解説≫

浜千鳥の鳴き声に,わが子を亡くした悲しみを重ねて歌った歌と言われています。歌詞の解釈には諸説あり,恋人に会えぬつれなさを嘆いているとする説もあります。

 

百名節

北谷真牛ぎやねが 歌聲うち出せは なかべとぶ鳥も よどで聞きゆさ

≪歌意≫

北谷真牛が歌声を出せば,空を飛ぶ鳥も羽を休めて聞くだろう。 

≪解説≫

かつて伊野波村(現在の国頭村本部町伊野波)に暮らしていた北谷真牛金の美しい歌声を讃えて詠まれた歌です。

 

3,上り口説

一,旅の出で立ち観音堂 千手観音 伏し拝で 黄金酌とて 立別る

二,袖に降る露おし払ひ 大道松原 歩み行く 行けば八幡 崇元寺

三,美栄地髙橋打渡て 袖を連ねて 諸人の 行くも帰るも 中の橋

四,沖の側まで親子兄弟 連れて別ゆる 旅衣 袖と袖とに 露涙

五,船のとも綱とくどくと 舟子勇みて 真帆引けば 風やまともに 午未

六,又も廻り逢ふご縁とて 招く扇や 三重城 残波岬も 後に見て

七,伊平屋渡立つ波おし添へて 道の島々 見渡せば 七島渡中も なだやすく

八,もゆる煙や硫黄ヶ島 佐多の岬にはい並でヤェイ あれに見ゆるは御開聞 富士に見まがふ 桜島

≪歌意≫

一.旅の出立は観音堂の千手観音菩薩を拝んで,黄金の盃を交わして別れを告げる。

二.袖に振る露(涙)を払って,大道松原を歩んで行くと,安里八幡宮をすぎて崇元寺にさしかかる。

三.美栄地高橋(美栄橋)を渡るとたくさんの人々が行き来する中の橋に至る。

四.沖の寺の側まで親子兄弟に見送られ旅衣の両袖を涙でぬらす。

五.船の艫綱を急いで解き,船員が勇ましく真帆を引けば,風は船の後ろから南南西に順風に吹いていく。

六.又必ず廻り逢う御縁であると三重城より扇をあおげば,船は残波岬も後に見えるほど順調に進んでいく。

七.伊平屋の荒波を乗り切って,航路の島々を見渡すと難所の七島も平穏に渡っていける。

立ち上る煙は硫黄島で,佐多岬を横目にして,あそこに見えるのは御開聞岳,そして富士山に見間違うほどみごとな桜島だ。

≪解説≫

上りとは,琉球王府の使節が薩摩へ公務に出向く旅程をさし,首里を出発して船に乗り薩摩の山川湊に入港するまでの様子を描いています。途中には潮流の早い難所が待ち構えており,出発にあたって観音堂で旅の無事を祈り,親兄弟などと別れを惜しむ様子も歌われています。

 

4,二揚独唱

仲風節

誠一つの浮世さめ のよでい言葉の 合はぬおきゆが

≪歌意≫

誠実であることが最も大切な世の中である。誠実な心持で接すればどうして言葉の相違があろうものか。

≪解説≫

八・八・八・六音からなる琉歌と,五・七・五音からなる和歌を折衷して取り入れたことから“仲風”といわれています。

 

述懐節

拝でなつかしや まづせめてやすが 別かて面影の たたばきやしゆが

≪歌意≫

お会いして別れ際を思うと悲しくなるのは仕方がないが,お別れした後,あなたの面影が浮かんだらどうしたらよいものか。

≪解説≫

組踊「手水の縁」では,愛する人と別れを惜しむ場面で演奏されます。今回は,惹かれあう男女の束の間の逢瀬を名残惜しんで詠まれた歌詞で演奏します。

 

5,中幕斉唱 

十七八節

夜静寂のなれば あ居ち居られらぬ 玉黄金使ひの にや来ゆらとめば

≪歌意≫

夕暮れになるといてもたってもいられない。大切な方からの使いが間もなく来ると思うと。

≪解説≫

二つの由来があり,一つは思春期の頃“十七・十八歳”,もう一つは仏教の教えである“第十七願・第十八願”に由来します。前者は日が暮れて愛する人との逢瀬を待ちわびて歌った恋歌であると言われ,後者は人生の晩年,極楽浄土の迎えを待って歌ったと言われています。

 

本花風節

三重城にのぼて 打ち招く扇 またもめぐり来て 結ぶ御縁

≪歌意≫

愛しい方を見送ろうと三重城にのぼって招くように扇をあおぐと,再び巡り合うご縁を結んでくれるでしょう。

≪解説≫

旅立ちを祝福し,一路平安を乞い願う歌です。本花風の“本”は“元祖・本来”という意味を持ちます。琉球王府の楽師であった知念績高が本曲に手を加えた歌は「花風節」と呼ばれています。

 

6,浜千鳥節

一,旅や浜宿り 草の葉の枕 寝ても忘ららぬ 我親のお側

二,旅宿の寝ざめ 枕そばだてて 覚出しゆさ昔 夜半のつらさ

三,渡海やひぢやめても 照る月や一つ あまも眺めよら 今日の空や

四,しばき植ておかば しばしばといまふれ またき植ておかば いまふれ忍ば

≪歌意≫

一.旅は浜辺で草の葉を枕にしているが,寝ても忘れられないのは我が親と過ごした日々である。

二.旅の宿で目がさめて,枕を側立てていると,思い出すのは昔のこと,夜半のつらいことよ。

三.海を隔てていても,照る月は一つだ。あの方も眺めているでしょう今宵の月を。

四.しば木を植えておきますので,たびたびおいでください。真竹を植えておきますので,またおいでください。

≪解説≫

旅宿から見える浜千鳥の美しい姿や淋しげな鳴き声に,郷愁を誘われて詠まれた歌です。舞踊曲でもあり,玉城盛重によって振り付けられました。

 

7,本調子独唱

仲間節

わが身つで見ちど よその上や知ゆる 無理するな浮世 情ばかり

≪歌意≫

わが身をつねってみて,他人の痛みを知ることができる。無理をすることなく,思いやる心が大切である。

≪解説≫

国頭郡恩納村名嘉真が発祥の地で,琉球国王尚敬王が詠んだ,人生の教訓を歌った歌です。

 

仲村渠節

仲村渠すばいど 真簾は下げて あにあらはもとまば 忍でいまうれ

≪歌意≫

仲村渠家の裏戸のすだれを下げてあるときは大丈夫ですので,人目につかぬように忍んでいらしてください。

≪解説≫

伊江島が発祥の地とされています。島の由緒正しい家柄の仲村渠家の娘マカトゥーには海を隔てた伊平屋島の松金という恋人がいましたが,両親に反対され,すだれを合図にひそかに逢瀬を重ねる様子を歌っています。

 

赤田風節

赤田門や つまるとも 恋しみもの門や つまてくいるな

≪歌意≫

赤田門が閉まっても,愛しい人のもとへ通じる門は閉まってくれるな。

≪解説≫

赤田門とは首里城にある継世門のことです。宮廷内の制限された環境に身を置く“城人”とよばれる女官が恋人と忍び逢うために通った城内の門について歌われています。

 

8,師匠独唱

散山節 

まことかや実か わ肝ほれぼれと ねざめ驚の 夢の心地

 

9,年忘れの歌 

四方になりわたる 除夜のかねきけば 暮れていくとしの なごりたちゅさ

≪歌意≫

四方に鳴り響く除夜の鐘の音を聞くと,暮れていく年が名残惜しい。

≪解説≫

かぎやで風は祝宴の座開きにさまざまな歌詞で歌われます。今回は大晦日に歌われる,年忘れのかぎやで風を歌います。